今年一番の大感動旅鉄がここに集結 鉄旅 OF THE YEAR
グランプリ
北陸本線100周年記念号の旅
● 企画担当者の声
2013年が北陸本線全通100周年にあたることから、これを記念し企画実施したツアー。
① 北陸本線の長年の歴史にふさわしい列車とするため、北陸本線沿線の方々に馴染み深い、かつて北陸本線の急行列車で活躍した475系国鉄色車両を使用し、往年の急行列車のヘッドマークを装着。

② 「北陸本線をクローズアップし、途中停車駅を楽しんでいただく」ことをコンセプトに、途中、北陸本線の主要駅に長時間停車し、その駅(土地)ならではのおもてなしを実施。そのおもてなしを楽しんでいただくもよし、駅のたたずまいや駅周辺の散策を楽しんでいただくもよし、北陸本線を堪能していただく旅とした。

● 企画者の裏側!(苦労話、こぼれ話)
① 初めてJR西日本金沢支社と共同で企画、実施したツアー。

② 475系国鉄色車両は現在3両1編成しかなかったが、往年の急行列車の堂々とした姿を再現するため、JR金沢支社に要請し、新たに3両を国鉄色に塗り直し、6両編成での運行を実現した。またヘッドマークは、懐かしの急行列車「ゆのくに」「立山」「くずりゅう」の3種類を用意。かつての各列車の運行区間の範囲内で忠実に付けることとし、往路復路共に金沢駅で付け替え、参加者へのお楽しみを増やした。

③ 途中停車駅を楽しんでもらうダイヤ設定について
  • 「北陸本線」を味わっていただくため途中停車駅での停車時間を極力長くとってもらうようJRと交渉。一番長い停車時間は上り列車の富山で59分となった。
⇒企画者のこだわりポイント!について
現代の日本には、長距離列車が少なくなり、結果、途中停車駅で長時間停車する列車がほとんどなく、停車時間に駅で一服する、周辺を散策するといった旅を楽しむ機会がほとんどない。そこでかねてより途中停車駅を味わってもらう企画を一度実現したく、今回の北陸本線100周年記念号の旅を実施するにあたり、途中停車駅を堪能することを提案、これが北陸本線をクローズアップするというJR側の意向と一致した。

④ おもてなし(旅の雰囲気づくり)について
  • 北陸本線駅弁発祥の地、今庄では駅前で「駅弁」の幟りを立てて参加者にお弁当を配付し、特別な旅の雰囲気づくりに努めた。
  • 北陸の温泉郷をクローズアップするため、芦原温泉の芸妓さんと加賀温泉郷のLADYKAGAの皆さんの「きれいどころに!」駅ホームでの出迎えを依頼した。
  • 地元の名菓をお楽しみいただく為、往路は芦原の酒まんじゅうを、復路は松任のあんころ餅を参加者に配付することとし、あんころ餅は昔の服装をした販売員の「あんころ~」の独特の節回しで旅の雰囲気を盛り上げた。
  • 伊藤敏博さんには直接お伺いし、ツアーでのライブに快諾をいただいたが、安全上の問題から実施場所に苦慮。最終的に車内を1両ミニライブ会場とし、富山駅停車中に2回転することで乗り切った。もちろん懐かしのさよなら模様は1曲目にお願いした。企画担当者自身、久しぶりの伊藤さんの歌声に酔いしれた。
  • 参加者には記念乗車証や記念のキーホルダーを配付、また車内では懐かしの急行列車グッズの販売を行い旅の記念のお土産をお持ち帰りいただだけるようにした。

⑤ 当日はツアー参加者だけでなく、駅に多くの見物客や写真撮影者も訪れ、またマスコミの取材も多数いただいた。マスコミの取材の結果、一番嬉しかった報道内容は富山チューリップテレビのニュース!
→http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20131014200534
(もう映像がなくお見せできないのが残念ですが(涙!))
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準グランプリ
クラブツーリズム貸切トワイライトエクスプレス車両で稀有な刻
瀬戸の絶景・呉線「ランチクルーズ列車」の旅3日間
● 企画担当者の声
① 通常は寝台で大阪~札幌間運行だが、今回は全く運行しない「岡山~広島間の絶景の呉線」を昼間に走行することを伝え誘客を図るべく、車体の写真を大々的に打ち出すとともに、海沿い走行が分かる写真とMAPでの走行ルート表記を意図的に使用。また、多数の車内写真(寝台部分、サロンカー、食堂車)やフレンチコースの写真を掲載することで、トワイライト車内で優雅に寛ぎ、贅沢なフレンチを食すイメージ構築も図った。

② 自チーム内での最上級商品を目指そう!をコンセプトに造成。宿は2泊ともSクラスの名宿で、1泊目は有馬温泉でも随一の「中の坊瑞苑」。であり、露天風呂と夕食をあえて大きく掲載することで媒体全体にも高級感と贅沢感を演出。

③ バス車中でもゆとりをもってもらえる様、1台あたり最大28名で最大計56名限定。 トワイライトの車内では、食事以外の時間にも寛いでいただける様、呉線沿線で造られている広島の地酒を約5種、その仕込み水を好きにご賞味。地元行政や自治体とタイアップし、地元の方による現地紹介を行い、且つ熊野筆・じゃがいもせんべいなど広島ならではのプレゼントをご用意。

④ JR西日本へ依頼し、今回の特別企画にそぐう硬券での記念乗車証を発行。

● 企画者の裏側!(苦労話、こぼれ話)
3時間の乗車時間の中で、トワイライトに乗車することだけではなく、瀬戸内海の地元の良さを車窓風景とともにPRでき、その案内に耳を傾けることでお客様にとっても通常の旅とは一味違った感じ方ができるように現地行政や自治体と協力。

地元の名産品や季節素材を現地の方から直接振舞われることで、交流の機会も生まれ、お客様にとっても、只のプレゼントではなくその物品の背景を直接心のこもった説明を受けながら手にとることで感動していただけるようにした。
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審査委員特別賞 
ミッドナイト撮影会 in 銚子電鉄
● 企画担当者の声
(1)企画の決定まで
 銚子電鉄の人気者と言えば、1067mmゲージでもっとも小さな電気機関車「デキ3」。車籍こそ無くなりましたが、今でも仲ノ町構内にシブイ音を響かせて走っています。この機関車を目的にたくさんのファンが銚子・仲ノ町を訪れ、様々な写真を撮っていますが、何か変わった撮影会は出来ないだろうか、と考えました
折しも銚子電鉄さんでも、鉄道ファンに楽しんでもらえる企画が何か出来ないか、と模索していたところ。一緒に何か考えましょう、ということで弊社鉄道プロジェクトとして持ちかけた企画が、 「デキ3の夜間撮影会をやってみてはいかがですか。それも本線上で。」というものでした。
車籍がないデキ3が本線を自走することは出来ませんが、線路閉鎖のうえ、電車が牽引すれば移動させることは可能ということがわかりました。しかし、日中はそんな時間がありません。ならば終電車が走り終わったあとなら・・・・。 0:00過ぎに仲ノ町を出発し、観音駅近くの開けた畑の中に停車させ、撮影会を実施してみては、ということになりました。しかし、深夜の畑の中ですから真っ暗。そこで牽引した電車のヘッドライトを投光器の代わりすることに。ここまで話しをしたところで鉄道写真家 広田 泉さんにご相談したところ、「私のほうで投光器を手配し、ライティングにも凝ってみましょう。」 とご協力いただけることになりました。また、本線撮影は深夜になりますから、それまでは仲ノ町の車庫でのライトアップ撮影会とし、終電後に移動して本線撮影、そして撮影後には仲ノ町に戻り、朝まで電車の中で休憩というプランが出来ました。

(2)企画のポイント
・広田 泉さんのライティングにより、幻想的な夜景を撮ることが出来る。
・今では貴重な、デキ3の本線上の姿を撮影。
・朝までの休憩場所を確保。仮眠用の車両とは別に、懇親会用の車両も用意し、希望者は自由に懇談も可能。

(3)実施してみて
 昼と夜とでは、同じ機関車でも全く印象が変わってしまうことを、参加された方は強く感じたのではないでしょうか。 それが今まで知らなかった車両の魅力となって、より興味を引き出すことになったと思います。しかも光の当たり方で雰囲気がガラッと変わってしまうので、あえて逆光でシルエットを強調したり、半逆光で車体の一部を輝かせたりと、みなさん楽しそうに自分なりの表現を探していました。また、深夜の撮影会ということで、大きな声を出して沿線の方のご迷惑にならないかを心配していたのですが、ご参加いただいたみなさん、沈黙を守るように静かに撮影されていました。とかく問題が目立つ撮り鉄がいる中、整然とした行動をとっていただいた参加者のみなさんには銚子電鉄の方も関心と感謝をしていました。

● 企画者の裏側!(苦労話、こぼれ話)
(1)とにかく情報統制を・・・
 今回の企画の目玉は、なんと言ってもデキ3の本線撮影。しかし、これは当日、移動直前まで一切告知しませんでした。 事前に情報が伝わっては、参加者以外のファンが撮影地に集まり、混乱しかねないことや、周囲の民家の方にご迷惑になることから、募集上は 「仲ノ町から移動して、本線上に停めた車両の撮影を行います。」 という案内に留めました。 このため、撮影地では参加者だけとなり、混乱もありませんでした。また、参加者のみなさんも大声を出すことなく、 とても整然とした行動を取っていただけたことも、催行側にとってとても嬉しいことでした。

(2)ライティングはさすがプロ
 夜間撮影ですから、どう光を当てるかで印象が全く変わります。とおりいっぺんに斜め正面から当てれば、きれいな写真を撮ることは出来ますが、平面的になってしまい、これでは日中の撮影と印象が変わりません。 こういうことはやはりプロの手にお任せするのが一番、と広田 泉さんにご相談したところ、 「斜め正面とか、真横など、うまく影を作ることで幻想的になります。投光器を手配して、いろいろ工夫してみたいですね。」 とご協力いただけたことも、ファンの方が足を運んでくれた大きな要因になりました。

(3)撮影後はどうしましょうか
 撮影後に仲ノ町へ戻るのが午前2:00頃。当然、電車は動いていません。またこの時間から宿へ行くのも大変です。そこで 「電車の中で始発が動くまで休憩することにしましょう。」 となりました。この時に銚子電鉄さんから、 「せっかく来ていただいたファンの方から、いろいろお話しも伺いたい。」 と申し出があり、懇親会用の車両も用意していただきました。 軽食と飲み物を用意して、乾杯したあとは自由に仮眠用の車両で休んでいただくことにしたのですが、参加された方の半分以上は寝ずに懇談されたり、仲ノ町に停泊中の電車を撮ったりと精力的に活動されていました。これにはさすがに銚子電鉄の社員の方も驚きを隠せませんでした。
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審査委員特別賞 
広田 泉さんと訪ねる 南三陸の今
● 企画担当者の声
(1)企画の趣旨
 東日本大震災から2年。少しづつではありますが、被災した地域で復興が進んできました。 「ぜひ多くの方に訪ねて欲しい、復興しつつある三陸を見て欲しい。」と声が届くようになり、各社から応援ツアーも催行されるようになりました。 当社鉄道プロジェクトも、どうしたら被災した鉄道やその地元を応援出来るのか、模索してきました。そして、 「今現地がどうなっているのか。ネットをはじめ、テレビや新聞で様々な情報が伝えられているが、実は見えていないものがあるのではないか。ならば、今を見ることで、南三陸の鉄道が今どうなっているのか、自分の目で確かめてもらうことで、何をしたらいいのかも見えてくるはず。応援ツアーではなく、応援するために今の南三陸を知ってもらうツアーにしよう。」 という思いにたどり着きました。

そして、以下のコンセプトを決め、ツアーを具体化していきました。
①内容は鉄道に特化する。
②未だ復旧の目途が見えない仙石線・石巻線・気仙沼線・大船渡線といったJRの各線を訪ね、今を体感していただく。
③様々な意見があるBRTについても、現地で見ていただく。
④南三陸でもっとも早く復旧した岩手開発鉄道も訪ねる。

(2)アピールポイント
①広田 泉さんのご協力
ツアーを実施しよう、と考えた時、コーディネーターを鉄道写真家 広田 泉さんしかいない、とすぐにお願いしました。 写真集「ここから始まる。」を自費出版、利益を全て三陸鉄道とひたちなか海浜鉄道に寄付されるなど、最も被災した鉄道と正面から向き合った方で、広田さんの体験をツアー中に伺うことで、見ただけでは知り得ない現実を参加者は追体験出来たことでしょう。

②鉄道に特化したからこその内容
観光旅行ではなく、鉄道プロジェクトだから出来るツアーにするため、以下の点を配慮しました。
○仙石線   復旧区間の矢本-石巻間を乗車します。
○石巻線   復旧区間の石巻-浦宿間を乗車し、女川で昼食を取ります。
○気仙沼線  志津川駅・清水浜駅・歌津駅・大谷海岸駅等を訪ねます。
歌津駅ではBRT専用道乗り入れ地点を見られます。
○大船渡線  鹿折唐桑駅・陸前高田駅・盛駅等を訪ねます。
○盛では「岩手開発鉄道」の車庫見学、そして今回ご参加の方を対象にグッズの即売会を開催。

③食事を出来るだけ自由に
 自由に街に出ていただき、好きなように食事していただくほうがより現地と密接に関われると考え、1日目の夕食と2日目の昼食は自由食としました。

● 企画者の裏側!(苦労話、こぼれ話)
ツアーを作るにあたって現地を知っていることがいかに重要か、今回に限ったことではありませんが、改めて感じました。

いろいろな情報をもとに行程案を作り、自分なりのイメージをもって現地の下見へ行ったのですが、以下のとおりイメージと現地のギャップに私自身が呆然したり、逆に素晴らしい出会いになるなど、自分の目で見て、体験することがいかに大切かを今更ながらに痛感しました。

①まだまだ手付かずの場所ばかり・・・
 テレビなどでは仮設であっても商店街や住宅が出来てきて、復興に向けて進んでいる、そんなイメージでした。
確かにそうなのですが、実はまだ手付かずのところが多く、震災の傷跡が至る所に残っていました。そんな箇所を目の当たりにすると、こういうことをツアーでしっかり伝える必要があるのではと感じ、行程案に手を加えていきました。

②食事出来る場所が少ない
 少しでも現地にお金を落とすには、復興商店街などにも立ち寄り、食事を取ることも一つの方法と考えました。
しかし、女川の商店街には飲食店が少なく、団体で訪ねても十分な供給が出来そうにもありませんでした。 幸い、団体対応が出来る食事処が港近くにあったため、そこを昼食場所としましたが、街によって復興の温度差が大きいこともよくわかりました。 同じことは気仙沼にも言え、お店の数は多くなりましたが、一軒一軒は決して大きくないため、結果として全員で入れる店は(ホテルのレストランを除いて)気仙沼駅や港付近にはありませんでした。

③素晴らしき男たちの鉄道・岩手開発鉄道
 岩手開発鉄道が復旧して運行していることは情報として知っていました。しかし、旅客営業していないので、盛駅を通過する貨物列車を見ていただくくらいのつもりでした。 しかし、下見に行って、 「これは絶対時間を取って寄らせていただかなくては。みなさん、必ず喜んでくれる!。」
と確信しました。
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ルーキー賞 
廃線探訪シリーズ「①定山渓鉄道」「②夕張・三菱大夕張鉄道」の2本
● 企画担当者の声
「鉄路が拓いた北海道」

開拓使以来、北海道の近代化は鉄道の存在抜きには語れません。その産業史を振り返ると多くの鉄道文化が花開いた地域でありました。しかしいつしかその役割を終え、廃線となってしまった鉄道群は、今やその遺構さえも消滅の危機に瀕している状況となっています。そこで現存する「鉄道遺構」を観光資源として捉え、商品化することに挑戦したのがこの企画です。

定山渓コースでは、定山渓出身で幼少時代から同鉄道を写真で記録し、ホームページで紹介をしているプロカメラマン氏を、また夕張コースでは同鉄道の保存活動を行っている団体の事務局長をコーディネーターに迎え、コース策定から綿密な調整を行い造成をを行いました。

マスコミ報道の影響もあり予約開始後すぐに満席となりました。また実施日も紅葉の季節に合致したこともあり、参加者からは絶賛のお言葉を頂戴できました。北海道はこれから降雪期を迎えるため次期企画は雪解けを待ってとなりますが、「次回もぜひ参加したい」との要望が寄せられています。

● 企画者の裏側!(苦労話、こぼれ話)
ツアーのターゲットはいわゆるマニアックな鉄道愛好家ではなく、地縁や記憶、思い出などで同鉄道に愛着やノスタルジーを感じてくれる参加者層を想定。その結果、参加者の平均年齢は68歳と高齢化した結果となりました。また同鉄道の元社員や、当時の知り合いが偶然同乗するなど、ツアーは和気あいあいの雰囲気で実施されました。

このシリーズは、次年度も全道各地の廃線エリアを回りながら、連続企画として実施する計画となっています。
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